研究概要 |
申請者らのグループでは,ガラスレンズのプレス成形に関する数値シミュレーションを行い,成形残留応力・残留変形量の予測を試みた.H21年度は,ガラス材料の熱粘弾性特性を一軸圧縮クリープ試験により評価し,Maxwellモデルの諸定数,シフトファクターといった熱粘弾性パラメータを導出するとともに,ガラス材料と金型からなる接触大変形解析を実施して,モールドプレス成形において生じる残留応力およびガラスレンズの成形精度は,ガラスの熱粘弾性特性に起因して,成形圧力や加圧時間,冷却速度といった種々の成形パラメータに強く依存することを見出した.特にシフトファクターの変化に着目し,ガラス転移温度前後における活性化エネルギーの変化が解析結果に与える影響について詳細に調査し,新たにユーザーサブルーチンを作成して,有限要素解析におけるシフトファクターを任意にコントロールすることが可能となった.結果的にシフトファクターの近似精度に起因する成形精度の低下を大幅に低減することが可能となった.矩形パターンのマイクロ金型および球面レンズ形状の金型を用いたプレス成型試験を実施し,それらの結果を数値シミュレーションによる結果と比較することによって,本研究で構築された数値シミュレーション技術の有用性を確認することができた.
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