研究概要 |
高周波マグネトロンスパッタリング法を用いて,セラミック材料のアルミナおよび炭化ケイ素をターゲット材とし,ホウケイ酸ガラス基板上に,2レベルの高周波電源出力のもとで各ターゲット材料とも3種類の膜厚の被膜を形成した.成膜したセラミック被膜特性の評価にあたり,微視構造の状態を反映する巨視的な物性と考えられる表面粗さおよび微小硬度を計測した.昨年度提案した被覆材料の強度改善率の評価手法,すなわち相対硬度,相対粗さの平方根の逆数およびスパッタ時間の指数関数を乗じた関数として評価する手法を,本年度作成した被覆材に適用したところ,推定強度は実験結果に対して±10%の範囲内で一致した.ただし,本年度作成した被覆材の強度改善率は,従来の結果に比べて低めになった.その要因としてロットの相違によるものと推察された 次に,被覆材料の耐久性の評価にあたっては,被覆面が引張側となるように試験機に装着し,3点曲げ強度特性および疲労寿命特性を測定した.アルミナ被覆材料,炭化ケイ素被覆材料ともに,膜厚が厚くなるほど曲げ強度が向上し,疲労寿命は長寿命側になることが判明した.疲労寿命の分布特性は3母数ワイブル分布関数でほぼ近似でき,その近似関数にける位置母数は実験結果の最小疲労寿命とほぼ一致した.また,両対数紙上で,実験結果における最小疲労寿命と平均曲げ強度はほぼ直線的となり,最小疲労寿命が平均曲げ強度のべき数関数として表示可能であることがわかった.上述のように,曲げ強度は相対硬度,相対粗さおよびスパッタ時間の関数として推定できるので,最小疲労寿命も同様の3種類のパラメータの関数として推定できる さらに,保証試験を実施し,スクリーニングによる耐久性評価の可能性について検討した.その結果,短寿命側の試験片を除外でき,保証試験が最小疲労寿命を保証する上で,有効であることが判明した
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