研究概要 |
荷重履歴の影響が小さいK_<max>一定ΔK漸減試験を,主にニッケル基一方向凝固超合金(DS材),に対して行い,真空中および大気中下限界近傍での高温疲労き裂伝ぱ挙動を検討した.以下に,それらについての結果を示す. (1)DS材の粒界は,ほぼ長手方向(試験片荷重方向)に揃っており,また,ひとつの結晶の幅は,0.5(mm)から3(mm)程度にもなっていることがわかった.結晶の長手方向の長さは非常に大きいため,本観察に用いたデジタルマイクロスコープでは測定できなかった.一方,普通鋳造超合金(CC材)は,通常の金属と同様な多結晶構造をしており,その結晶粒径には0.1(mm)程度の大きさのものから1(mm)程度のものまで幅広い分布が認められた. (2)DS材に対し真空中および大気中において,K_<max>一定ΔK漸減試験を行い「見かけの下限界値」ΔK_<th>の比較を行った.その結果,「見かけの下限界」挙動には温度依存性が存在し,酸化膜が影響を与えることが示唆された.また,真空中では大気中の進展挙動とは異なり,「見かけの下限界」値が850℃近傍でピークを持つことが解った. (3)DS材大気中900℃において,荷重周波数を30(Hz)から3(Hz)に変更させた場合,き裂進展速度da/dNが約10倍に増加した.また荷重周波数を30(Hz)から3(Hz)に変更した場合,き裂進展速度da/dNは約10分の1に減少した.すなわち,本材料の高温疲労き裂進展速度da/dNに関しては,荷重周波数依存性が存在することが解った. (4)AFMの破面形状の高さデータに立方B.C.法を適用することにより,850℃真空中高温疲労き裂進展試験を行った後のDS材試験片に対し,フラクタル解析を適用した.その対象領域は,安定き裂進展領域内の6箇所とした.K_<max>が増加するにつれ,フラクタル次数は,ほぼ直線的に増加していくことが解った.
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