各構造要素について概要を示す。 1. 2重構造円筒:円筒試験体の爆発膨張による分裂破壊については十分なデータの蓄積ができたので、爆発円筒破片の飛散防止の研究を開始した。内部に円柱状爆薬を装填したA5052材円筒(内径:28mm、肉厚:3mm、軸長:100mm)の外側に同軸・同材の外筒(内径:94mm、肉厚:3mm、軸長:100mm)を設置し、内筒の爆発実験を行い、外筒の破片飛散防止効果を実験した。内筒の爆発力は爆薬円筒の径を28mm、16mm、8mmと変化させて調整した。破片回収実験の結果、薬径8mmの場合は外筒が内筒破片の飛散を完全に防止した。薬径16mmと28mmでは外筒も分裂破壊し、破壊までの膨張量は単円筒に比べ比較的少なかった。内・外筒の破片は概略分離できたので、外筒についてGradyの分裂エネルギーモデルに基づく破片評価を行った。その結果、単体円筒に比べて破片寸法が大きく、内筒の破片衝突を考慮したモデルの修正が必要なことが分かった。 2. 円環:昨年に引続き、爆発円筒駆動で外面に設置した5個のSUS304材円環の膨張・破壊の研究を行った。膨張時のひずみ比(εz/εθ)が理想状態(-0.5)でなく、分裂・破壊状況に内部円筒の作用が影響していると判断された。来年度は円菅集合体での爆発膨張・分裂破壊実験を行う。 3. 平板:自由表面にVノッチ列加工することで爆発衝撃波の反射に起因する剥離(スポール)破壊を軽減できるかについてSUS304材、A2024材平板(50mm×50mm×20mm)を対象として実験・解析を行った。溝加工形状を変えることで破壊防止に有効な形状をマップで表現できる可能性があることが分かり、引続き検討を進める。
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