研究概要 |
超微細粒銅を電気電子部品に使用するには,高寿命域の疲労強度を向上する必要があり,H21年度の予備試験の結果を参考に,引き続き99.9%Cuの微細粒銅に180℃回復焼なましを施して疲労試験を実施した.その結果,疲労限度を粗大粒銅より40%程度増加させることに成功した.き裂の挙動と微視組織をOM,TEMにより調べ,結晶粒の方位差の減少が関係したき裂伝ぱ経路のジグザグ化による破面粗さ誘起き裂閉口にあることを見出した。る.このためには,繰返しに対する組織安定性を増加することが重要である.21年度はところで,材料を実機に使用するには疲労寿命を精度よく予測する必要がある.前年度の研究から,き裂進展速度(dl/dN)が下限界付近を除けば(dl/dN)10^<-6>mm/cycle),微小き裂伝ぱ則により近似的に評価できること,下限界の進展速度域において進展速度の変動が観察され,その原因が繰返し塑性域寸法と結晶粒径との関係による進展メカニズムの変化の結果であることを明らかにした.今年度は,ECAP加工の加工段階による下限界の進展速度域における進展速度の変動と組織の平衡度の関係を検討した.ECAPを4パスおよび12パス行った場合の,下限界近傍の微小き裂の進展挙動を調べたところ,4パス材は進展速度の遅延が認められないのに対し,12パス材は大きな遅延が確認された.TEM,EBSDおよびSEM解析を行い,組織の平衡度の違いによるき裂進展挙動を説明する進展モデルを提案した.この成果は金属分野で特に評価の高いActa Mateialiaに掲載された.
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