研究概要 |
平成20年度においては,主に以下の研究内容を実施した. 1. ニッケル基単結晶超合金YH-61の十字型試験片を用いて,900℃において相当ひずみ速度が0.1%/sの完全両振り対称三角波のひずみ波形を用いて高温多軸低サイクル疲労試験を実施した.y方向の主ひずみを一定(0.7%)とし,x方向の主ひずみを変化させた試験を実施し,低サイクル疲労破損寿命に及ぼす主ひずみ比の影響を明らかにした. 2.ニッケル基単結晶超合金の多軸低サイクル疲労破損寿命は主ひずみ比の影響を大きく受けることが判明した.主ひずみ比が-1〜0の範囲では,主ひずみ比の増加に伴って低サイクル疲労破損寿命は単調に増加した.しかし,主ひずみ比が0〜1の範囲では,低サイクル破損寿命は主ひずみ比の影響をほとんど受けず,ほぼ一定となった.これらの関係を単一の関数で表示することはそれ程容易で無いことが明らかになった. 3.試験片断面でのき裂の発生・成長面を観察した.何れの主ひずみ比においても,き裂は試験片表面に垂直に発生・成長したことが確認できた.次年度以降,さらに詳細な微視き裂の観察とき裂モードの確認を実施する予定である. 4.一部の主ひずみ比において,700℃で多軸低サイクル疲労試験を実施した.900℃に較べて700℃での多軸低サイクル疲労寿命は非常に大きく,700℃での疲労損傷は設計においてそれ程考慮する必要がないことが判明した.このことから,今後は900℃のみで試験を実施し,700℃での試験は実施する必要がないことが判明した.
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