研究概要 |
平成21年度においては,主に以下の内容の研究を実施した. 1.ニッケル基単結晶超合金YH-61の十字型試験片を用いて,900℃において10分間の圧縮保持を伴う高温多軸クリープ疲労試験を実施した.この際,y方向のひずみを一定とし,x方向の主ひずみを変化させた試験を行った. 2.10分間の圧縮保持を伴うクリープ疲労破損寿命は,保持を伴わない低サイクル疲労破損寿命に較べて低下した.この低下した原因は,ひずみ保持期間中のクリープ損傷によるものであると思われる.しかし,クリープ疲労破損寿命の主ひずみ比依存性は,保持を伴わない低サイクル疲労を同様の傾向を示した.すなわち,主ひずみ比が-1~0の範囲では,クリープ疲労寿命は主ひずみ比の増加に伴って単調に増加した.しかし,主ひずみ比が0~1の範囲では,クリープ疲労寿命は主ひずみ比の影響をほとんど受けず,一定値となった.ただし,この傾向を確定するためには,さらに追加に試験が必要である. 3.十字型試験片のクリープ疲労試験での変形挙動をシミュレートするため,弾塑性クリープ有限要素法解析を実施した.単結晶超合金は結晶組織による顕著な異方性を有しているため,弾性変形特性には立方晶の異方性を考慮し,塑性変形およびクリープ変形にはHillの異方性を考慮した.xおよびy方向の荷重値と両方向のひずみの関係について,有限要素法の結果と実験結果とを照合したが,両者は比較的良好に一致した.このことから本研究で行った解析方法の妥当性が検証された.
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