研究概要 |
二年目の研究は,初年度で(1)原料およびNIL犠牲樹脂型の基本的な特性と(2)調合したMIM原料の溶融粘度特性の把握を行い,(3)極微量混練射出成形機および金型の改良により(4)NIL犠牲樹脂型へのMIM原料のインサート射出成形を可能にし,(5)一体で離型した試験片の溶媒抽出後の超微粒子の充填挙動,および(6)成形体のマイクロ構造体の形状測定を実施した成果をもとに,最終製品である焼結体の形状転写性との関連性に着目し,マイクロ構造体の品質を改善することを目的に,焼結条件の最適化について検討を行った. 研究計画段階では,金属粉末粒子に加え,Al_2O_3やTiNなどのセラミック超微粒子に対しても本研究で提案したNIL/μ-SPiMIMプロセスを適用し,高精度なセラミックス製のマイクロ構造体の試作を行う予定としていたが,本提案プロセスに適した超微粒子の供給が遅延したため,本提案プロセスによるナノ銅粉末を用いたヒートシンクの試作品の製造可能性の検討を優先的に実施した. 平均粒径700nmの純銅粉末を用いて調合したMIM原料を,幅10μmおよび5μm,深さ10μmのラインアンドスペース(L/S)構造を有するナノインプリント犠牲樹脂型に射出成形し,得られた成形体を溶媒抽出した後,イオンポリシャーにて断面切断を行い,SEM観察により形状転写性を調査した.得られた成形体を一旦大気中で酸化処理を行った後,5%水素+アルゴン混合ガス雰囲気中で還元処理を行った,その低温(573K)焼結体の断面観察を実施したところ,サブミクロンスケールの多孔質構造体が得られていることが分かった.その多孔質構造体をさらに高温(973K)で焼結することにより,寸法収縮率が約20%(幅4.4μm,高さ7.6μm)のL/S構造体が多数配列した焼結体が相対密度97%程度の比較的高い密度で製造できることが分かった.
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