平成20年度は、具体的な実施内容は以下のとおりである。 Niからなる結晶を再現するポテンシャルを決定し、Zrに対するポテンシャルは、応募者らが既に開発したものを用い、開発したNiのポテンシャルを用いて、3体項の角度依存性、および、その遮蔽の度合いを原子の種類、と相関を持たせた関数であるスクリーニング関数を考慮して、原子の種類によっても異方性をもつ相互作用ポテンシャルの妥当性を検討した。申請者が着目している、金属ガラスと、従来型アモルファス合金の特性の違いを表現する一つの指標として、動径分布関数の第一ピークの分裂の有無に重点を置いて調べてきたが、それ以外の評価基準の探索、検討を行なった。さらに、Ni-Zr系合金(結晶相)の融解・急冷過程の分子動力学シミュレーションによりアモルファス金属を生成に着手した。生成されたアモルファス構造の微視的構造について動径分布関数の評価、CNA解析、ボロノイ多面体解析を実施して、その幾何学的な微視的原子構造のパターンを系統的に抽出しデータベース化し、アモルファス生成メカニズムを解明を現在進めている。さらに、無負荷の平衡状態における材料物性、自己拡散係数の評価、および、原子レベルの固有残留応力と原子レベルの局所弾性定数評価を行なっている。原子レベルの固有残留応力、原子レベルの局所弾性定数の分布の基礎的データの収集を行う。また、マクロ弾性定数について実験値との定量的な比較検討する。さらに、コンピューターを用いた仮想材料試験を実施し、先に述べた種々の提案手法および直接的な可視化(サイエンティフィックビジュアリゼーション)によりメカニズムの検討を行なった。
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