平成21年度の具体的な実施内容は以下の通りである。 平成21年度は、Cu-Zr系合金と、Ni-Zr系合金をそれぞれ急冷して得られるアモルファス合金の局所構造に注目して、金属ガラスと従来アモルファス金属のガラス転移現象になぜ差異が生じるのかを解明をめざした。その差異の発現において、局所的な構造、クラスタ構造の振る舞いが大きな役割を果たしていると考えられる。一般に、アモルファス構造に対する動径分布関数は、2つに分裂した第2ピークを持つことが知られている。最近の研究から、金属ガラスと従来型アモルファスでは、動径分布関数の第1ピークに差異が見られることが知られている。ここでは、この動径分布関数の第一ピークに着目してそのメカニズムの解明を目指した。 具体的な計画として、以下のような手順で研究を進める。 現状では、第一ピークが明確に表れるまでのモデルを開発途中の段階である。動径分布関数の評価により、最近接領域での原子配置を見積もり、Cu-Zr系アモルファス合金、Ni-Zr系アモルファス合金の原子距離、配位数を調べるための可視化プログラムの準備は整っており、最適なモデルを決定次第、その分析に入るための準備は整っている。 国内での学会発表を通じて、得られた成果を迅速に報告した。現在、外国語論文への研究成果投稿を進めている。
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