研究概要 |
本年度は,湾曲したヘリカルフィンチューブをダイス傾斜押出し加工法を用いて成形するための基礎データを得ることを目的として,フィンチューブ押出し湾曲成形・評価装置を製作し,ストレートフィンチューブの湾曲成形実験を塑性加工用モデル材であるカラークレイを用いて,種々の押出条件の下で実施した.その際,様々なダイス傾斜角に対してチューブ肉厚一定で押出すことを可能にするために,先端部を球状にしたマンドレルの導入を試みた.実験は,ダイス傾斜角0, 15, 30°に対して,フィン厚さ,チューブ湾曲面に対するフィン成形位置,マンドレル先端球径を種々変化させて行った.その結果,ダイス傾斜押出し加工法を用いることにより,湾曲フィンチューブが割れなどの形状欠陥を生じることなく容易に成形されることが確認された.また,押出されたフィンチューブの曲率は,ダイス傾斜角の増加に伴って増加する傾向を示しており,ダイス傾斜角を制御することにより任意の湾曲形状を持つフィンチューブを成形することが十分可能であることが明らかになった.さらに,フィン成形位置が湾曲面から離れるほどフィンチューブ曲率は大きな値を示した.このことは,押出出口におけるフィン成形位置は湾曲面から離れた位置に設定した方が良いことを示唆している. 今後は,本年度製作した押出し装置を用いてヘリカルフィンチューブの湾曲成形実験を実施し,マンドレル回転速度などの押出条件の成形特性への影響を明らかにすると同時に,今回得られた知見をもとにスクリュー式押出し成形機への本方法の適用を試みる予定である.
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