研究概要 |
本年度は,湾曲したヘリカルフィンチューブをダイス傾斜押し加工法を用いて成形するための基礎技術を確立する上で解決すべき課題として昨年度明確になった押出し時にヘリカルフィンチューブが螺旋状に変形する現象について,その特性を詳細に検討することに重点を置き研究を実施した.研究に際して,マンドレルを回転させ円周方向に大きな材料流動を生じさせることが可能な押出し装置を新規に製作し,それを用いて押出し実験を実施することにより押出し時の変形特性を詳細に調査した.押出し実験は,ダイス傾斜角0,20,40°,マンドレル先端球径8,9,10mm,フィン長さ4,8,12mm,マンドレル回転速度15,30rpmの下で,2枚のダイプレートにより形成された押出し孔から塑性加工用モデル材であるカラークレイを約40mm/minで押出す方法で行った.本研究では,押出されたヘリカルフィンチューブの変形特性を評価する方法として,フィンチューブが円筒の周囲に沿って螺旋状に変形すると考え,曲がり特性を円筒の曲率,ねじれ特性を螺旋チューブの比ねじれ角を用いて定量化する方法を導入した.本評価方法を用いて各種押出し条件に対するフィンチューブの変形特性について検討した結果,押出し材曲率及び比ねじれ角いずれもダイス傾斜角及びマンドレル先端球径の増加に伴って増加し,フィン長さの増加に伴って減少することが明らかになった.また,マンドレル回転速度の増加は,押出し材曲率を減少させ比ねじれ角を増加させる傾向を示すことが分かった
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