研究概要 |
本研究では,一体型複合ヒンジ機構による弾性案内と,電磁力アクチュエータとしてボイスコイルモータ(VCM)を用いた位置決め機構を研究対象とし,最大1×1mm(X×Y)程度のストローク(ミリストローク)にわたって1nmの分解能と10nmの動的運動精度を持つ平面位置決め機構を実現する.また,弾性案内の構造系における動的最適化と制御系の最適化の統合化設計の方法についてシミュレーションと実験により系統的に検討し,弾性案内-電磁力駆動によるミリストローク超精密位置決め機構の構成法を提示することを目的としている. 本年度はその初年度として,位置決め機構本体の設計製作を行った.まず,設計製作する位置決め機構の仕様および全体の配置を決定した.各要素の配置は,位置決めテーブルに対して3対(6個)のVCMを配置し,X-Y方向の直動と,微小なヨーイング動作が可能な構成とした.次に,ストローク1nmを満たす弾性要素を設計した.構造は平行板ばね機構を基本とした一体型複合ヒンジ機構とする.板ばね部の静剛性について検討し,ヒンジ形状の概略を求め,機構全体の静的特性について検討した.さらに固有振動数の解析を行い,X方向とY方向およびヨーイング方向の固有振動数がほぼ同等となるように,ヒンジ形状と質量配分を最適に調整した.なお,一体型複合ヒンジ機構についてはワイヤカット放電加工により一体成型加工で製作する予定であったが,加工の難易度が予想外に高いことが判明したため,上下の2部品に分割して製作することとし,上部要素については加工を完了した.また空気圧式防振台を設置し,次年度に行う機構部および計測部の組立の準備を完了した.
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