研究概要 |
動力伝達用の高性能歯車成形は切削除去加工であるホブ盤等で成形されている.コスト削減の要求から塑性変形を利用した冷間押出しが実用化されはじめている.冷間押出しは素材の逃げが常に確保されるために低い面圧で良好なる歯車の成形が可能である.しかし試料を絞る方法では断面減少率に応じて成形品後端面に型と試料との摩擦によりバリ状の凹凸が生じ実用に供する場合にはこれらの凹凸を除去する後加工が必要となっている.プレスでの矯正が考えられ矯正型内に挿入し据込むことで矯正は可能となるが凹凸がバリ状のために不規則な折れ込みが生じ最終的に旋盤などの旋削加工で除去しているのが現状である.成形荷重は試料の断面減少率に比例するので荷重を低く抑えることが出来れば凹凸の生じる原因の摩擦を大きく減少できることになり凹凸を抑えることができると考えられる. そこで本科研費での研究は,押出しでは提案されたことのないダイス形状で[試料を一旦拡張しその後絞る方法]で断面減少率を小さくすることが出来る型構成となっている.特殊形状のダイスなので種々なる困難が考えられた.昨年の研究ではこのような方法で実際に歯車が成形出来るかをアルミ試料を用い確認した.本年は昨年度と異なり実用材料である鋼試料を用い調査した.その結果,実用材料である鋼を用いても提案している方法で十分に成形出来ることが確認できた.また型構成を逆にした内歯車においてもこのような方法が適用出来るか予備実験により一部であるが確認した.パンチ,ダイスやマンドレルに負荷される面圧も型強度に比較し低いことが確認された.詳しい報告については塑性加工学会や機械学会において順次報告するのでそちらを参照していただきたい.
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