研究概要 |
平成22年度は,平成21年度に得られた結果を踏まえ,非球面ガラスの研磨実験・純金属の研磨実験を引き続き行った.硬脆材料を被削材とした場合,形状精度は維持しつつも表面粗さだけ改善するためには軟質ゼラチン砥石(ゼリータイプ)が適し,純金属などの軟質金属を被削材とした場合,硬質ゼラチン砥石(グミタイプ)が適することがわかった.しかし,被削材と砥石の界面でスラリー化が生じてしまい,梨地状となり鏡面は得られなかった.次年度にさらに硬質(水分含有量の低い)砥石を作製して追加実験を試みたい.また,これまで使用してきた砥粒(GC)に代わり,宍道湖産のヤマトシジミを粉末状にした代替砥粒による研磨実験も行った.使用した代替砥粒は炭酸カルシウムを主成分とするため,GC砥粒(SiC)に比べ,硬度は低いものの,精密研磨用代替砥粒としての可能性があることを明らかとした.さらに,ゼラチン砥石のリサイクルに関する実験も行った.比較的短時間で固化するため,スラリー化したゼラチン砥石の回収は比較的容易であることがわかった.しかし,回収したゼラチン砥石から砥粒のみを回収することは難しく,砥粒の周囲にゼラチンが付着した状態での回収しかできなかった.ゼラチン砥石を再生する上で,ゼラチン含有量は性能に大きな影響をおよぼすことがこれまでの結果で明らかになっており,ゼラチンが付着した砥粒による再生は難しいと判断した.次年度以降,酵素分解を利用した砥粒の回収方法について検討する予定である.ゼラチン砥石中の砥粒のみを取り出す方法として,ゼラチン砥石の焼却実験を行った.実験の結果,使用済みゼラチン砥石を600~650℃の温度域で焼却することで,GC砥粒のみを回収できる可能性があることがわかった.
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