研究概要 |
本研究では,ゼラチン等を結合剤とした精密研磨用弾性砥石の開発および加工性能の解明を試み,多様性に富む弾性砥石の作製を行った.これまでの実験結果より,ゼラチン砥石で金属・セラミックス・ガラス・金属間化合物などの様々な材料に対して研磨加工が可能であることは明らかとなっている.本年度は,環境に優しい砥石としてのゼラチン砥石の可能性を探る. 平成23年度は,平成22年度までに得られた結果を踏まえ,スラリー化したゼラチン砥石のリサイクル(砥粒回収)に関する実験を行った.スラリー化して飛散したゼラチン砥石は,細かく分断されている(表面積が増大している)ため,比較的短時間で水分が蒸発し固化する.固化したゼラチン砥石に水分を加え,加熱し,砥粒との分離を試みたが,砥粒の周囲にゼラチンおよびカラギーナンが付着し,完全に砥粒のみを回収することは困難であることがわかった.これは,感温性を低下させる添加剤として加えた,カラギーナンが何らかの影響をおよぼしているものと考えられる. 次にパパインを使用して,酵素分解を利用した砥粒の回収方法を試みた.条件を変化させて回収実験を試みたが,砥粒回収に比較的長い時間を要する上,あまり良好な結果は得られなかった.最終的な砥粒回収方法として,使用済みゼラチン砥石の焼却実験を平成22年度に引き続き行った.昨年の結果より,使用済みゼラチン砥石を600~650℃の温度域で焼却することで,GC砥粒のみを回収できる可能性があることが明らかとなっている.焼却温度を650℃に設定し,昇温時間・保持時間を変化させて焼却実験を行った.焼却実験の結果,砥粒だけではなく,フィルム状の物質が残留することが明らかとなった.このフィルム状の物質については,今後詳細な分析を行い,完全に砥粒のみを回収する方法について検討したい.
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