研究概要 |
今年度は,前年度に試作した水晶ウエハを超精密三次元マイクロ加工するための実験装置(反転流型キャビテーション援用砥粒加工装置)を改良し,加工精度の向上効果を検証した.前年度に試作した加工装置は,スラリーの供給されるノズルの下方に工作物が固定される構成であったが,ノズル自体の加工精度や工作物の取付け精度等の影響が加工精度に影響を及ぼすことが明らかになった.そこで,工作物を取付けたステージに回転機能を与えることによって工作物に対する加工の軸対称性を向上させることを目的とし,メカニカルシール等を利用して装置に改良を砲した.この改良は,工作物への加工形状のバリエーションを広げることも目的としている.加工テストの結果,前年度までの加工結果に比べて加工領域の軸対称精度が格段に向上し,長時間の加工テストを積み重ねることによるノズルの微細な損傷が加工結果に及ぼす影響も極めて小さくできることが明らかになった. また,ノズルと工作物との間のスペースにおけるスラリーの流動解析をCFD解析し,ノズル径と絞りクリアランスの条件によっては工作物中心部に加工量の少ない部分が生成されることがスラリー流動におけるよどみ点の存在に起因することを明らかにした.さらに,スラリー流動におけるキャビテーションの効果を高めるには,ノズルの出口近傍に微細なピンを組み込むことによって実現の可能性のあることを,同様のCFD解析によって明らかにした.
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