研究概要 |
今年度は,前年度に回転機構を加え試作した水晶ウエハを超精密三次元マイクロ加工するための実験装置(反転流型キャビテーション援用砥粒加工装置)をさらに改良し,シール部の装置の耐久性を向上させた.水晶に見立てたテンパックスガラスウエハ(φ12x1.5mm)を756rpmまでの回転速度で加工チャンバ内で回転させることに加えて,スラリーを供給させる絞りノズルのワーク回転中心から6mmまでオフセットさせて実験を行った.また,加工量ならびにその分布を解析するためのマスク法も考案した.加工実験の結果,ワーク回転数を大きくするほど,加工量は減少することが明らかになった.この実験条件においてCFD解析を実施したところ,ワーク回転数を大きくするほどワーク表面近傍において発生する連れ回り流が盛んになり,絞りノズルからのスラリーのキャビテーション流のワーク表面への干渉強度が弱まることが原因であることが明らかになった.加工量の均一性については,ノズルオフセットが0mm(ノズルがワーク回転軸上)の場合に加工量の均一性に対する最適なワーク回転数が存在するが,他のオフセット量では,概ねワーク回転数が大きくなるほど加工量の均一性は向上することが明らかになった.また,ノズルオフセットの実験結果から,ノズル位置をワーク外周部周辺に設定すると加工量は減少するものの,ワーク表面全体における加工量の均一性は向上することが明らかになった.また,表面粗さは,ノズルオフセット量を大きくするに従ってわずかながら改善されることが明らかになった.
|