研究概要 |
(1) 工作機械の幾何偏差のモデル化と解析 工作機械の形状創成理論に基づいて,工作物に対する工具の相対運動を表現する数学モデルを構築した.さらに,このモデルに,直線運動および回転運動における偏差を与え,工作物に対する工具の運動偏差を評価するモデルを提案し,解析を行った.特に,運動の偏差を正規分布に基づく確率変数として取り扱い,運動の偏差を平均値と標準偏差の形で評価する手法を提案した. (2) 直進運動テーブルおよび回転運動テーブルの運動偏差のモデル化と解析 工作機械の形状創成運動は,基本的には直進運動と回転運動を組み合わせて実現されている.そのため,ここでは,工作機械の基本運動を実現する直進運動テーブルおよび回転運動テーブルについて,その幾何偏差を同定し,モデル化を行った.さらに,相互に運動する場合について,直進運動および回転運動の偏差の同定とモデル化を行い,ユニットの機何偏差に基づいて,これらのテーブルの幾何偏差および運動の偏差を解析する方法論を開発した.特に,直線運動テーブルおよび回転運動テーブルの案内面の幾何公差(平行度,垂直度,同軸度など)の公差域が与えられた場合に,直線運動および回転運動の偏差の平均値および標準偏差を求める手法を提案した. (3) 3軸マシニングセンターのモデル化と解析(杉村,岩村) (1)および(2)で提案する工作機械全体のモデル,および個別の直線運動および回転運動テーブルのモデルを組み合わせて,3軸のマシニングセンターのモデルを構築し,その工作物に対する工具の運動偏差を評価するとともに運動偏差に起因する加工形状の偏差を推定する手法を提案した.ここでは,球面のボールエンドミル加工を対象として,モデル化および偏差の推定を行った.これにより,金型加工などにおける運動偏差と加工形状の偏差との関係を明確にすることができる.
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