研究課題
フォトニック結晶は、屈折率の異なる材料が光の半波長程度に周期的に配置された構造物である。この結晶の周期間隔や構造を変化させることにより光の透過・反射・屈折特性を制御できるため、光導波路等の光学部品として今後多くの需要が見込まれている。フォトニック結晶の構造(以後、フォトニック構造と呼ぶ)は、1次元、2次元、3次元構造の3種類があり、その周期形状は様々なものが提案されているが、シミュレーションにおいては解析できても作成は非常に困難となる場合がある。それはフォトニック構造が数百nmレベルの周期構造となるため、その作成が困難であり、いまだに作成技術が確立されていないことによる。現状においては、平板に加工された格子構造や球を積み上げて作成する組立法または自己集積による作成方法が提案されているが、作成コスト、作成時間、光学特性を変化させる機能性欠陥の作成が難しい等問題も多い。また、実用化の点においては量産可能な製造技術が望まれるところであるが、現状においては3次元フォトニック結晶の量産化方式は確立していない。そこで、平成20年度はフォトニック結晶を製造するための型となるPLZTの特性評価とフォトニック結晶の材料となる光硬化性樹脂を極微量充填する装置を組み込んだ成形装置の開発を行った。平成21年度はPLZTを樹脂に埋め込んだ試作型を作製し、その特性を調査した。平成22年度は21年度の研究をもとに位置決めのいらない型の提案と樹脂充填量の制御を取り入れた新規の成形装置の設計を行い、試作した成形装置により実験を行った。その結果、百μm程度の三次元形状を積層することにより、複雑な形状を成形することに成功した。
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