研究概要 |
複合砥粒砥石として開発したBaSO_4-SD砥石とCeO_2-CBN砥石の加工特性の評価を行うための実験を行った.BaSO_4-SD砥石では,軸受鋼(SUJ2)の超仕上加工を行い,硬質砥粒のそれに比べて加工変質層の違いについて調べた.その結果,BaSO_4-SD砥石による加工変質層の方が薄く,複合砥粒砥石の方が無擾乱性に優れていることを明らかにした.一方,CeO_2-CBN砥石については,光学ガラスとしてよく使われるBK7ガラスを対象として超仕上を行い,ダイヤモンド砥粒砥石との比較を行った.その結果,ダイヤモンド砥石に比べ仕上能率ではやや劣るものの,表面にできるスクラッチ痕が少なく表面粗さにおいては優れていることを明らかにした.また,今回,CeO_2-CBN砥石の比較対象として製作したビトリファイドボンドCeO_2砥石を用いてBK7ガラスの超仕上を行った.従来,CeO_2砥粒は遊離砥粒としてガラスの平滑化のためのポリシングに使用されており,化学的除去によりスクラッチ痕のない非常に平滑な表面を仕上げる反面,軟質砥粒のため長時間の加工を必要としていた.ところが,今回我々が使用したビトリファイドボンドCeO_2砥石では,ポリシングの数十分の一の加工時間でポリシングと同等の表面性状を得ることができることがわかった.ただし,CeO_2砥粒は軟質のため超仕上比は複合砥粒砥石や硬質砥粒砥石に比べて低いことが今後の解決点として挙げられる. 一方,もう一つの課題である複合砥粒砥石における研削機構モデルの構築では,複合砥粒砥石の構造モデルおよび作用面トポグラフィモデルの構築を行った.開発した複合砥粒砥石の場合,CeO_2砥粒の大きさは他の構成粒子に比べて極端に小さく,凝集して分布する傾向にある.そのため,このような凝集状態を新たに作成するためのアルゴリズムを考案し,先に開発した硬質砥粒砥石の構造モデルおよび作用面トポグラフィモデルに付加することでモデル化を実現することができた.
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