研究概要 |
本研究は,小型DCモータのブラシなどに広く使用されている電気しゅう動接点の性能向上を目的として,しゅう動面に多孔質含油材料を適用した場合の通電特性とトライボロジー特性(摩擦特性)を実験的,理論的に解析した.電気しゅう動接点を非多孔質材料のライダ(固定側)と多孔質材料を用いた回転ディスクの組み合わせでモデル化し,多孔質材料の透過率が通電性および摩擦特性に及ぼす影響を調べた.その結果,多孔質材料の透過率が通電特性と摩擦特性に及ぼす影響は,数値解析結果と実験結果で定性的に一致した.具体的には,透過率が高いほど導通状態を維持できる無次元軸受特性数S(=ηU_0L/w_f,η:潤滑油粘度,U_0:固定側接点中心位置におけるしゅう動方向速度成分,L:ライダ長さ,w_f:しゅう動部油膜反力)の上限値が大きくなり,より広い運転領域(例えば高速度,低負荷荷重)で使用できることが明らかになった.また,透過率が高くなると接触可能なSの上限値における摩擦力が小さくなる点からしゅう動接点の高寿命化が期待できる.
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