研究概要 |
グリースに代わる新しい潤滑剤として,液状基油にアミド系ゲル化剤を配合した熱可逆性ゲル状潤滑剤が注目されている.本年度はまず状態図の作成と転がり軸受寿命試験による性能評価を行った。研究成果は以下の通りである ○ゲル状潤滑剤の2GPa・200℃までの状態図作成 ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を使用することで一滴の潤滑剤から状態図の作成が可能となった,高圧下で無定形固体に転移する基油では,複屈折の惹起に伴う光弾性効果の出現により粘弾性固体転移点の温度一圧力の状態図の作成ができる. ゲル状潤滑剤ではゾル/ゲル転移に伴う透過光量の変化を観察することで,ゾル/ゲル転移の状態図の作成ができる. ○転がり軸受寿命試験による熱可逆性ゲル状潤滑剤の性能評価基油としてはVG68のPAO(記号P-N-0)を使用した。ゲル状潤滑剤は,この基油にゲル化剤モノアミドを10%添加して製造した(P-A-10)とゲル化剤ビスアミドを10%添加した(P-B-10)の2種類を使用した.なお,比較のため使用したリチウム石けんグリース(P-L-8)は同一基油にリチウム石けん8%を添加し,またウレアグリース(P-U-12)はジウレアを12%添加して製造したものである.ゲル状潤滑剤はグリースに比べ油膜形成状態が良好であり,それに伴いゲル状潤滑剤の軸受寿命がグリースに比べ長寿命となった.また,ゲル状潤滑剤稠度の影響を調べた結果,稠度が低く硬いゲル状潤滑剤ほど接触面への潤滑剤の導入性が悪く,油不足を生じ易く,結果として軸受寿命が短寿命となることが分かった
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