研究概要 |
著者らは先に熱可逆性ゲル状潤滑剤の実用性能を評価すべく,基油を同一とする熱可逆性ゲル状潤滑剤とグリースの転がり寿命試験を行った結果,グリースに比べ熱可逆性ゲル状潤滑剤は油膜形成が良好で軸受寿命が長寿命となることを明らかにした 次なる課題は,衝撃と振動を伴う機械における表面損傷防止へのゲル状潤滑剤の応用である.そこで,鋼球と平板試験片(S45C)で構成した自作の打撃試験機を使用し,落下高さ30mmからの衝突試験を行い,AEの発生状況,打撃圧痕の精査による閉じ込め膜厚の測定,電気抵抗法による油膜形成状態の測定より,潤滑性能評価を行なった結果,基油やグリースに比べゲル状潤滑剤の油膜形成状態が良好でしかもオイルピットが浅いことが分かった。衝撃荷重や振動を伴う機械においては油膜形成状態が良好でしかもオイルピットが浅い潤滑剤ほど良好な潤滑剤であり,ゲル状潤滑剤の応用展開の可能性が明らかとなった.この打撃試験は第一回目の衝突は圧痕形成を伴う弾塑性衝突,その後反発し第二回目の衝突は弾性衝突となることも明らかにした.ゲル状潤滑剤は塑性変形を伴い新生面が惹起する一回目の衝突において,新生面にアミドが吸着することで良好な潤滑作用を行なっていること,一方,二回目の弾性衝突においてはゲル状潤滑剤に比べウレアグリースが良好な結果を示すことを明らかにした
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