研究概要 |
本研究は,超弾性効果を有する形状記憶合金と磁場下で磁力を発生する強磁性材料からなる強磁性形状記憶合金複II合材を用いて,実際に航空・宇宙産業での使用が期待される高負荷能力,大変形能を有する磁気駆動アクチュエータを開発することを目的としている.本年度は,磁気駆動トルクアクチュエータの磁力による回転角の解析方法の検討を行った.そして,解析結果を基に試作機の製作を行った.また,複合材の製作方法の一つとして異種材摩擦圧接法の検討を行った.本年度,得られた結果は以下の通りである. (1) トルクアクチュエータの磁気吸着時の回転性能に最も影響を及ぼすヨーク形状を吸着実験結果より決定した.そして,そのヨーク形状を用いた場合に吸着時に軸の回転角がどの程度得られるのかを求めるための解析方法を,両端固定ばりの簡易理論を適用することにより提案することができた. (2) 昨年度のトルク負荷時の解析方法及び吸着時の回転角の解析方法に基づき,磁気駆動トルクアクチュエータの詳細設計を行い,試作機を製作した,動作確認実験を行った結果,トルク負荷時および磁気吸着時に軸の回転を確認することができた.今後詳細なデータを得て理論解析との比較を行う予定である. (3) 異種材摩擦圧接継手の接合強度評価を行った結果,硬質材側の表面性状,特に最大粗さの影響が大きく現れ,圧接面にバフ研磨を施すことで接合強度を向上できることが明らかとなった.また,接合強度は軟質材の引張強さより低下していたが,これは圧接時の圧縮応力によるバウジンガー効果が原因であることを明らかにした.
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