研究概要 |
本研究は,形状記憶合金と強磁性材料からなる強磁性形状記憶合金複合材を用いて,高負荷能力,大変形能を有する磁気駆動アクチュエータを開発することを目的としている,本年度は,昨年度製作した試作機の問題点を改善し,トルクアクチュエータの性能試験を行った.そして,さらなる性能向上のための検討を行った.また,複合材作製法として具種材摩擦圧接継手の検討を行った.得られた結果は以下の通りである. (1) 昨年度の試作機は,強磁性材料間の接触により形状記憶合金ワイヤの働きを阻害していた,そこで,強磁性材料に面取り加工を施し,さらにスペーサーを挿入することで,強磁性材料の接触をなくし,形状記憶合金の超弾性特性を有効に活用できるよう改良した. (2) トルクアクチュエータの性能試験を,回転角制御法およびトルク制御法の二種類の実験方法を用いておこなった.その結果,2.49Nmの高トルク域において,磁場を印加することにより,回転角制御では24.7度,トルク制御では20.1度の回転角を得ることができた. (3) 性能試験結果および昨年度の理論解析より,さらなる高トルク域において大きな回転角を得るためには,形状記憶合金ワイヤー本数,および強磁性形状記憶合金複合材の巻き数を増やすことが有効であることが明らかとなった. (4) 異種材摩擦圧接の後処理の影響を黄銅-低炭素鋼継手にて調査した.その結果,450℃10時間の後熱処理を行っても黄銅と同等の継手強度を有することが明らかとなった.しかし,長時間の熱処理を行うと,接合面でき裂が発生するなどの問題が生じることがわかった.
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