研究概要 |
本研究では,個々の部品に対応するネットワークエージェントとRFID(電子タグ)を組み合わせた部品エージェントを開発し,部品の再利用と循環を促進するしくみを提案,構築している.特に,部品の保全に関する多様なユーザの選好が部品の再利用を促進する可能性を示す.部品エージェントは,個々の製品の劣化状況,利用者の意向,利用環境,市場動向などを収集し,製品に対する適切な行動の情報を利用者に提供することをめざす.部品エージェントは,ネットワーク内を部品に従って移動し,部品や,ユーザ,市場などと情報交換を行い,適切な判断をくだして,ユーザに提示する.本研究では,とのようなしくみを実現する基本的な技術の開発と,循環を促進する要因を明らかにすることをめざす.今年度の主な研究項目とその成果は次のとおりである. 1. 部品エージェントの実装技術の開発:部品のリユースを推進するために,部品エージェントによる部品の情報化とその実装方法を研究した.パソコンのハードディスク装置を対象に,利用者の操作を含む運用試験のための試験環境を開発し,(1)部品エージェント間の通信,(2)RFIDと画像処理を組み合わせた個体識別・管理手法,(3)部品エージェントを介したユーザとデータベースとの情報交換,(4)部品の利用状況に基づくFMEA解析によるリコールの支援,を開発した. 2. 部品エージェントに基づく部品のライフサイクルシミュレーション:提案する部品エージェントシステムが,部品の循環を促進するための要因を明らかにするために,部品のライフサイルにわたり,部品,部品エージェント,生産者,ユーザ等の関係者の挙動をシミュレーションするしくみを開発した.ライフサイクルのモデリング機能,シミュレーション機能,シミュレーション結果の表示機能に分けて開発し,時刻に従った部品の挙動をシミュレートするための基本的なしくみを実装した.
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