研究概要 |
本研究では, LESの工学的応用と産業界における実用化において不可欠な、非構造格子系に最適化された乱流モデルの構築を目指して, 以下の項目を段階的に進める. (1)「非構造有限体積法離散スキームの構築」 (2)「非構造格子系に適したSGSモデルの構築と高精度化」 (3)「マルチスケールハイブリッドモデルの構築と壁乱流における検証」 (4)「実用的ブラフボディ空力における検証」 本年度は(1)に取り組み, 非構造有限体積法の離散化誤差の把握と最適化を図り, 非構造有限体積法スキームの構築を行った. まずは物理量定義点について, 要素中心と節点中心の二種類の離散化手法に対して解析コードを作成した. 次にコロケート格子系の実用問題で不可避である安定化スキームについて, 中心差分に高次精度風上差分をブレンドする手法の検討を行った. 解析対象は, まずはモデリング誤差を極力排するために, 低レイノルズ数(Re〜100)球周り流れとし, 実験経験則と比較することで精度検証を行った. 同時に, 同手法を乱流境界層が解像できない高レイノルズ数(Re〜105))場に適用し, 風上ブレンド率の最適化を行った. ブレンド率を流れ場で一律とするのではなく, 壁面距離関数を利用してブレンド率を壁面近傍から減衰させることで壁面摩擦抵抗の予測精度が向上することを明らかにした. 現在, スペクトル法によるDNSデータベースが利用できるチャネル乱流に対して解析を実施し, 安定化スキームが乱流スペクトル特性に与える影響を考察中である.
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