研究概要 |
ソノポレーションのメカニズム解明の基礎研究として, マイクロバブルの破壊とキャビテーション現象に関する研究を行った。まず細胞実験でよく用いられる24 wellプレートの円筒容器の一つを取り上げて, 1MHzのバースト信号で発振された超音波によりキャビテーション現象がどのように発生し, また水深により発生量がどのように変化するのかを光学的に観察した。この場合, 円筒容器による光学的ゆがみを矯正するため外側に直方体のアクリル容器を設置した。更に体積濃度10%[v/v]のソナゾイド懸濁液と超音波の相互作用について調べた。その結果, 以下の事柄が明らかとなった。 1. キャビテーション気泡は容器内水深2.6mm(定在波が形成される水深7λ/4に近い水深, ここでλ : 波長)の時に最も多く発生した。この特定の液深でキャビテーション気泡の数が多いという事実は細胞実験の培養液の深さに関する知見とほぼ一致しており, 分子導入の原因がキャビテーション現象に起因していることを示唆している。 2. マイクロバブルは液深によらず超音波照射後100msでおよそ半分, また1秒間照射では大部分のMBが破壊された。 3. MB懸濁液中では超音波照射から数秒後でもより多くのキャビテーション気泡が発生する場合があった。この事実は, 超音波照射直後にマイクロバブルの大半が破壊されるものの, その際流出するガスや分解したシェルの破片がその後のキャビテーション発生の核として働いていることを示唆している。 今年度は平面振動子を用いる従来型の実験状況で発生したキャビテーション気泡とマイクロバブルの破壊過程に着目したが, 今後は, 既設の集束振動子を用いてキャビテーションの発生とマイクロバブルの破壊過程を究明する予定である。
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