研究課題
最終年度は凹面型超音波振動子を用いてマイクロバブルと超音波の相互作用に関する実験を行い、マイクロバブルの破壊個数を、キュベット容器内のマイクロ規模の混相流動場に着目した流体場の直接観察と超音波照射後の顕微鏡観察との対応から明らかにした。以下に主要な結果について述べる。1 流体場の拡大撮影から得られる有効体積中に存在する超音波照射前のソナゾイドの個数の割合は、最初に設定したソナゾイド懸濁液の体積濃度とほぼ一致した。本実験で使用した超音波造影剤ソナゾイドの平均直径はおよそ2μmであった。この状況の下、周波数1MHzの超音波を発振する平面型振動子と凹面型振動子を用いた比較実験から、ソナゾイドの破壊に及ぼす照射時間の影響はほぼ同じ結果となった。2 照射時間がおよそ200msで、多数の気泡が発生しているのを確認した。崩壊末期、非球状に変形する気泡の内部に微細な液体噴流が形成されていることを瞬間画像で捉えた。また、閃光時間180nsの瞬間光源を用いたシャドーグラフ法により、気泡の再膨張の際に放射された複数の衝撃波も観測できた。このようなジェットや衝撃波による短いパルス状の衝撃力がソノポレーションの原因となり、細胞膜に一過性の微細孔を生じさせるものと考えられる。3 本実験で得られた結果を、細胞実験を進めている研究連携者(東北大学・小玉哲也)に提供した。現在、研究連携者が代表となって「ナノバブルと超音波を用いたがん治療法の開発」というタイトルで日・韓共同研究(日本学術振興会)を進行中である。
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日本産業技術教育学会北海道支部会研究論文集
巻: 24 ページ: 15-18
混相流
巻: 24 ページ: 162-168
キャビテーションに関するシンポジウム(第15回)講演論文集
巻: 電子媒体(DVD) ページ: No.Al-5