研究課題
本年度は、先ず、平成20年度に抽出されたエネルギースペクトルの非平衡成分の、定常な乱流状態を維持するために低波数帯に注入する外力の印加法に対する依存性を検証した.格子点数を512^3、レイノルズ数R_λを120として、ランダムな位相をもった外力とlinear forcingによる外力2種を比較し、何れの場合においても、平衡成分のKolmogorovの-5/3乗則に加えて、-7/3乗と-9/3乗スペクトルが得られる事を示した。しかしながら、-9/3乗成分は、平均としてはおおむね-9/3乗を示すものの無視できない分散を伴う事を明らかにした.このため、平成20年度に用いたKovasznayのスペクトルモデルに加えて、Heizenburgモデルを用いた摂動展開を行い、前者の解が-7/3・-9/3・-11/3乗といった冪を持つ無限次展開となるのに対し、後者では-9/3乗に代数的な対数補正が付随する事を示した.この解析解は、スペクトルの時間変動が、散逸率が増加する時間帯(Phase 1)、減少する時間帯(Phase 2)、両者間の遷移期(Phase T)の3 Phaseから成る事を予測するが、実際、-7/3乗はPhase 1と2、-9/3乗はPhase Tにおける条件付平均から抽出された.次に、非平衡成分のエネルギー・カスケードの形成過程における役割をエネルギー伝達関数を用いて解析し、Phase 1では-7/3乗成分による順方向のカスケードが生成されるのに対し、Phase Tでは-9/3乗成分により、またPhase 2では-7/3乗成分によって逆方向のカスケードが生成され、概周期的な乱流変動が形成される事を明らかにした.次に、粘弾性一様等方乱流と円管内乱流のDNSを行い、非平衡スペクトルに対する粘弾性効果を示し、乱流抵抗の削減機構を明らかにした.
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Bulletin of the American Physical Society 54
ページ: 143
Advances in Turbulence XII, Ed. by B.Eckhardt, Springer Proceeding in Physics 132
ページ: 705-708