研究概要 |
固液混相流体やマイクロバブルを含む容器内の気液二相流体に超音波を照射すると内部に音響流が生じる.また,外部から超音波を内部の局所に集中させれば,混相流体の局所に流れを起こすことができると考えられる.さらに,外部からの超音波照射は,マイクロマシン内部の混相流体の駆動・混合等に利用できる.本研究は,これらの基礎特性を明らかにすることを含め固液混相流体やマイクロバブルを含む気液二相流体の基本的現象及び基礎的なな検討を行うことを目的としている.本年度については,固体微粒子を含む容器内固液混相流体に超音波を照射すると内部に音響流が生じるが,その特性と各種パラメータが音響流に及ぼす影響を測定し考察した.矩形形状で上部が大気解放されている容器内に微粒子(比重2.7で直径50〜150μm)を混ぜた水を満たし,容器の側壁につけた超音波用振動子を使って,固液混相媒体に周波数(22, 98, 500kHz)の超音波を水平方向に照射した.振動子から超音波の照射方向(水平方向)をZ軸方向とすると,この進行波によってZ軸方向に音響流ができた.アルミ箔片あるいはアルミ粒子と水の混相流体の場合に,音響流に及ぼす周波数等の影響を調べたが,音響流の速度について溶存酸素濃度(溶存ガス濃度)が支配的なパラメータの一つであることを明らかにした.このことから,音響流を利用し制御するためには,多くのパラメータの中で,溶存ガス濃度の管理が重要であることが分かった.
|