研究概要 |
固液混相流体やマイクロバブル(以下,MBと称する)を含む容器内の二相媒体についても超音波を照射すると内部に音響流が生じる.この現象を利用として外部から超音波照射を内部の局所に集中させれば,混相流体の局所に流れを起こすことができる.外部からの超音波照射は,マイクロマシン内部の混相流体の駆動・混合等に利用できる.本研究は,超音波を照射したとき生じる固液混相流体やMBを含む気液二相媒体の音響流の数値解析に必要な基本的現象及び基本特性を明らかにすることを目的としている.平成22年度については,鉛直方向に設置された円筒容器内(内径268mm)の混相媒体について,円筒容器の端面(底面)につけた円形平板型超音波用振動子(直径50mm,485kHz,直径26mm,3.5MHz)から鉛直上向きに超音波を照射して基礎現象を調べた.すなわち,上水中のMBに対して超音波を照射した場合と上水中のナイロン粒子等に対して超音波を照射し場合を比較した.さらに,周波数をパラメータとして粒子挙動の違い,及び流れ場の違いを調べた.その結果,液中にナイロン粒子等を含んだ混相媒体については単相流の音響流と類似の音響流れを形成することが分かった.一方,液中にMBを含んだ混相媒体では,円形平板型超音波用振動子の超音波周波数(96kHz,485kHz,3.5MHz)の違いに伴う超音波の指向性の変化がMBの挙動を大きく変えることを明らかにした.従って,液中にMBを含んだ混相媒体では,MBは液に比べて音響放射力をかなり強く受けて音響流れに対する追随性の低いことより,各相に対する数値解析と振動子形状に応じた超音波の指向性を考慮した数値解析が必要である.本研究では,今後のMBを含む気液二相流体に超音波を照射した現象の数値解析にとって必要な基礎現象のデータと重要な知見が得られた.
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