研究概要 |
平板上のキャビティを通過する流れでは、キャビティ上流角ではく離したせん断層が周期的に自励振動する。自励振動流の制御は複雑な流動現象を制御する典型的問題であり、実用的にも流力騒音の低減などに応用され重要である。我々はキャビティ底面を駆動して自励振動を制御する新しい能動的制御法を考案し、二次元数値シミュレーションによって制御可能であることを明らかにした。本研究はキャビティ底面を駆動する能動制御法を三次元流に拡張し、三次元キャビティ自励振動を制御する新たな方法を開発することを目的とする。研究はスーパーコンピュータを使用した直接数値シミュレーションにより行う。今年度は大規模な三次元計算を高速に実行するために、大阪大学サイバーメディアセンターのベクトル並列型スーパーコンピュータにおいて高速な並列計算を行えるようにプログラムの改良を行った。並列化手法は行列計算の前処理に局所ILU分解を用い、領域分割法とコンパイラの自動並列化機能を使って並列化を行った。これにより、従来使用してきた1CPU用プログラムと比較して約20倍の速度で計算することが可能となった。並列化プログラムを用いて、制御を行わないキャビティ自励振動流の三次元直接数値計算を行った。キャビティ自励振動はアスペクト比が増加すると振動モードが変化することが知られている。三次元直接数値計算によって振動ストローハル数と振動モードの変化がどの程度正確に計算できるかを調べた。キャビティアスペクト比は2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0で行った。2.0と2.5はモードIIの振動となることが確認できた。より長いアスペクト比の計算は次年度に継続して計算を行っている。
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