研究概要 |
平板上のキャビティを通過する流れでは、キャビティ上流角ではく離したせん断層が周期的に自励振動する。自励振動流の制御は複雑な流動現象を制御する典型的問題であり、実用的にも流力騒音の低減などに応用され重要である。我々はキャビティ底面を駆動して自励振動を抑制する新しい能動的制御法を考案し、二次元数値シミュレーションによって制御可能であることを明らかにした。本研究はキャビティ底面を駆動する能動制御法を三次元流に拡張し、三次元キャビティ自励振動を制御する新たな方法を開発することを目的とする。今年度は制御を行わないキャビティ自励振動流と、キャビティアスペクト比2.0に対して底面駆動制御法を適用した流れ場の三次元直接数値計算を行った。制御を行わないキャビティ自励振動流は、キャビティアスペクト比を2.0,2.5,3.0,3.5,4.0,4.5,5.0と変化させた。2.0と2.5はmode II、3.0はmode IIとmode IIIの混合状態、3.5,4.0,4.5はmode III、5.0ではwake modeと振動モードが遷移することを明らかにした。さらに、2.0の流れ場に対して底面駆動制御法を適用した計算を行った。底面駆動速度は負方向には-0.1,から-1.0、正方向に駆動する場合は+0.4,+1.0,+2.0とした。三次元計算では二次元計算の結果とは異なり、自励振動を完全に停止させることはできなかった。負方向に駆動した場合、いずれの駆動速度においてもキャビティ下流角近傍の速度変動のrms値は制御前に比べて低下した。もっとも低下したのは-0.6の場合で、制御前の約半分にrms値を低下させることができ、底面駆動制御法の有効性を確認した。これに対し、正方向へ駆動した場合は、いずれの駆動速度においてもrms値が制御前よりも大きくなり、振動を抑制する制御はできなかった。
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