平板上のキャビティを通過する流れでは、キャビティ上流角ではく離したせん断層が周期的に自励振動する。自励振動流の制御は複雑な流動現象を制御する典型的問題であり、実用的にも流力騒音の低減などに応用され重要である。我々はキャビティ底面を駆動して自励振動を抑制する新しい能動的制御法を考案し、二次元数値シミュレーションによって制御可能であることを明らかにした。本研究はキャビティ底面を駆動する能動制御法を三次元流に拡張し、三次元キャビティ自励振動を制御する新たな方法を開発することを目的とする。今年度はキャビティアスペクト比2.0に対して底面駆動制御法を適用した振動制御の三次元直接数値計算を行った。底面駆動速度の方向はキャビティ下流から上流への負方向とし、底面の駆動速度は無制御の場合の0から-1.0まで0.1刻みで変化させ、自励振動の応答を調べた。キャビティ下流角より0.1上流側の点における垂直方向速度変動のrms値を、無制御の場合と比較し制御の効果を調べた。底面駆動速度を0から負方向へ大きくすると、rms値は無制御に比べて大きく低下し、底面駆動速度が-0.4で極小値となることを明らかにした。その場合のrms値は無制御のrms値に対する比で約54%まで低下し、底面駆動法によってキャビティ自励振動を抑制することができることを明らかにした。底面駆動速度を-0.4からさらに大きくすると、垂直方向速度変動のrms値は増加に転じ、駆動速度が-1.0では無制御時よりもrms値が大きくなった。このことから、最適な底面駆動速度は-0.4で、振動の大きさを制御前の約半分に低下させることができ、底面駆動制御法の有効性を確認した。ただし、二次元数値シミュレーションの結果と異なり、三次元数値シミュレーションでは、振動を完全に停止させることはできなかった。
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