研究概要 |
本年度においては,オイラー方程式に対する統合スキームの構築・評価及びナビェ・ストークス方程式に対する2次元統合スキームの構築・評価を実施した.オイラー方程式に対しては,従来の手法に比べ大きな時間刻み幅を確保できることが判明し,計算効率の向上につながることが実証された.ナビェ・ストークス方程式に対しては,2次元円柱まわりの流れを対象として研究を実施した.その結果,マッハ数1.6の超音速流れからマッハ数0.0の極限である非圧縮性流れまで統一して解析することが可能であることが判明し,各々のマッハ数における他者の結果と比較しても良好に一致することが確認された.ナビェ・ストークス方程式においては硬直性が問題となるが,本研究で用いている一様マッハ数圧力補正法は硬直性による時間刻み幅の制限を回避することが可能であることが示された.従って,計算可能な時間刻み幅はオイラー方程式の場合と同様に従来の手法に比べ大きく取れることが実証された.また,円柱壁面を等温とした場合及び断熱とした場合の比較も実施した.その結果,低マッハ数領域に対して懸念された熱に関する影響は断熱の場合においてもマッハ数の二乗程度であり,流れ場に対して顕著な影響は及ぼさないことが判明した.これを従来の手法の結果と比較しても,等温・断熱の両場合に対して同程度であることを確認した.
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