研究概要 |
本年度においては,前年度までに構築・評価したマッハ数に依存しないスキームに対してデカルト座標系ベース境界適合アプローチの実装および評価を実施した.デカルト座標系で複雑な局率を有する流れ場を解析可能な研究代表者が考案した非圧縮性方程式に対するシームレス仮想境界法を一様マッハ数圧力補正法に組み込むことにより,デカルト座標系ベースの圧縮・非圧縮性統合流動解析スキームの構築を試みた.シームレス仮想境界法を圧縮性方程式に適用する際には,連続の式に対する付加質量項を評価する必要があり,代表的な円柱まわりの流れに対してシミュレーションを実施した.その結果,超音速流れから非圧縮性流れまでデカルト座標ベースで解析可能であることを実証した.さらに,3次元問題に対しても適用し,円柱まわりの超音速流から非圧縮性流まで一つのスキームで解析可能であることが示された.最後に,非圧縮性から圧縮性流れへ時間と共にマッハ数が変化するような非圧縮性・圧縮性統合シミュレーションをデカルト座標系ベーススキームにおいて試みた.飛行機における離陸から巡航状態を模擬したものに相当するマッハ数を0.01から0.8まで時々刻々変化させシミュレーションを実施した結果,マッハ数が時間と共に変化する流れ場に対しても本スキームが有効に機能することが実証され,一様マッハ数圧力補正法とシームレス仮想境界法とを組み合わせたデカルト座標系ベースの非圧縮性・圧縮性統合流動解析スキームは、簡便性と汎用性を兼ね備えた将来的に有望な数値計算手法であり,非圧縮性・圧縮性統合流動シミュレータの開発が可能であるとの結論を得た
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