研究概要 |
圧力噴射弁のノズル内で生じるキャビテーションが誘起する強い乱れが,噴射された液体噴流の微粒化過程に及ぼす影響を明らかにするため,ノズル上流部の幾何形状を変化させた様々な圧力噴射弁を作成し,キャビテーションおよび液体噴流の微粒化過程の可視化実験を行った.その結果,ノズル内で生じる縮流の度合いが増すとキャビテーションの厚さが増し,液体噴流の噴射角が増すことを明らかにするとともに,縮流の度合いとノズル内壁面摩擦圧力損失を考慮した修正キャビテーション数を用いることによって,多様な幾何形状のノズル内キャビテーションの発達条件,即ち微粒化促進条件を予測できる見通しを得た. また,従来研究では2次元ノズルから噴射される液体噴流の微粒化機構を明らかにしたが,工業的によく利用される円筒ノズル内においてキャビテーションが誘起する乱れと液体噴流の微粒化過程との関係を明らかにするために,3枚のミラーで構成される工夫を施した光学系を有する円筒ノズル内キャビテーションと液体噴流微粒化過程の同時可視化装置を作成し,高速度撮影を行った.その結果,2次元的なノズルの場合と同様に,円筒ノズルにおいてもキャビテーション気泡群が放出され,その跡に生じる強い乱れが,液体噴流の大変形を誘起し,微粒化を促進することを示した. さらに,ノズルの長さなどが異なっても,縮流の度合いを定量的に評価できれば,前述の修正キャビテーション数を用いることによって,様々なノズル内におけるキャビテーションの発達条件,即ち微粒化促進条件を予測できる見通しを得た.
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