研究概要 |
カルマン渦列の礎研究として,2次元流に限定し,スペクトル展開を行い定常解の解の分岐を調べ,その安定性と非定常解の行動を研究した。流入・流出のある流れに対しては通常Sommerfeldの放射条件を用いるが,任意性が強く,基本的な研究のためには適当でない.そこで本研究では流れ場を適当な関数によって有限領域へと変換し,その領域で通常用いられるChebyshev多項式による展開に代わってLegendre多項式による展開を用い,任意性の強い流入・流出条件の導入を避けることができた。さらに補間点としてLegendre多項式のゼロ点とすることによって高い精度を達成することが可能となった.結果として,レイノルズ数が約46で双子渦が不安定となりカルマン渦列がホップ分岐することが示され,過去の多くの研究と一致した.続いてカルマン渦列の安定性をポアンカレ断面法にGMRes法を組み合わせて計算した.その結果,レイノルズ数が400と700の間で不安定化することが示された.不安定化する撹乱は千鳥格子状ではなく,渦対を構成するような形状でカルマン渦列を蛇行させるような構造を持っている.また撹乱は円柱近傍にはあまりなく下流で支配的であることが分かった. 一方,マイクロバブルを発生させ,それを含んだ水をパイプに導くことによって,マイクロバブルの抵抗削減効果を検討した。マイクロバブルは対向型旋回式発生装置で作り,それをパイプへと導いた.濃度は1%以下である.これによって直管で約51%,ヘリカル管で約16%の抵抗削減を達成することができた。この基礎研究によってマイクロバブルの性質を詳細に調べることができ,これに基づいて円柱後流に対するマイクロバブルの影響を詳しく研究することが可能となった。
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