研究の2年度目においては、初年度に製作した装置を用いて実験を行った。 粗面平板を設置する前の流れ場が二次元性を有すること、標準的な流れ場であることを、摩擦抵抗法則および対数速度分布などから確認し、良好な結果が得られた。 幅700mmの二次元チャネル中央に製作したd形粗面平板を設置し、熱線流速計を用いた平均速度および乱流量計測を行った。 計測はX型熱線プローブと定温度型熱線流速計を用いてなされ、流れ方向平均速度、流れ方向、壁面に垂直方向、スパン方向レイノルズ垂直応力成分、およびレイノルズせん断応力が取得された。 計測を行った位置は粗面設置からチャネル高さの400および800倍下流の横断面とした。 これらの横断面内の適切な位置について、平均速度とレイノルズせん断応力の分布を求め、その等値線図を描いた。 等値線図にける分布から、壁面側においては粗面から滑面方向へ、上方においては滑面から粗面方向へと流れる二次流れの存在が推測された。 この影響は壁面に垂直方向のレイノルズ垂直応力成分の分布において顕著にみられた。 二次流れの大きさは流れ方向平均速度数%程度と推測されたため、その発生については以下の2つの方法も考慮して検討した。 一つは横断面内における領域を適当な面積に分割し、その流量の移動を調査するものである。 二次流れが存在していれば対流作用により質量流量の移動が発生し、不均一な分布が生じ、その結果は二次流れに依存する推測されるからである。 この調査により、平均速度およびレイノルズ垂直応力成分の等値線図の歪みから推測された二次流れにより、横断面内において生じた流量の不均一が説明できることが示された。 もう一つの方法は、流れ方向平均渦度の輸送方程式に含まれる生成項を調べるものである。 流れ方向平均渦度は平均流線の歪みと非等方レイノルズ応力の非一様分布により発生することが輸送方程式に含まれる生成項から明らかにできる。 実験計測により取得されたデータを解析することで見積もられた生成項は流れ方向渦度の発生を支持するものであった。 等値線図、流量の不均一性および流れ方向渦度の生成項の調査に基づき、粗面と滑面との境界に二次流れが生じることが確認できた。
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