研究概要 |
ディーゼルエンジンの排気物質低減のため,燃料噴霧の微粒化が求められており,高速且つ高密度の微粒子を定量的に計測できる計測装置の開発が必要とされている.本研究では,焦点構造をマイクロプローブ構造としたレーザ2焦点流速計を光バンドルファイバにより構成し,多点化することにより燃料噴霧の粒子速度および粒子径を空間的に計測できる多点同時計測システムを開発するも.当該年度では、多点計測システムを構成する際のデータ処理システムについて検討を行った.対象とするディーゼル噴霧は,微小粒子が分裂を繰り返しながら時間的および空間的に大きな変化を示すので,高速なデータサンプリングシステムが必要となる.本課題ではFPGAに高速メモリを直結した電子回路を構成し,最大15MHzでサンプリングができるデータ取得システムを開発した.コモンレールインジェクタより噴射される噴霧の軸方向および半径方向に多数の計測点を設け,多数回に亘るレーザ計測を行ったところ,粒子の追いつき・追い越し現象および分裂・合体現象を捉えることができた.また,粒子通過率および粒子径により質量分布を時系列変化として算出したところ,噴霧中心部および周辺部では大きな勾配を示した.パイロット噴射など著しく噴射期間が短い場合には,コモンレールインジェクタにおける針弁リフトの非定常性が質量分布の時間変化となり,特に噴霧中心部において非定常性が強くなることが分かった.本課題で開発した高速データ処理システムを多点同時計測に適用することで,毎回噴射毎の噴霧の非定常性が明らかになると考えられる.
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