研究概要 |
ディーゼルエンジンの排気物質低減のため燃料噴霧の微粒化が求められており,高速かつ高密度の微粒子を定量的に計測できる計測装置の開発が必要とされている.本研究では,焦点構造をマイクロプローブ構造としたレーザ2焦点流速計を光バンドルファイバにより構成し,多点化することにより燃料噴霧の粒子速度および粒子径を空間的に計測できる多点同時計測システムを開発することを目的とした.レーザ射出用ファイバおよび散乱光検出用ファイバ群を一本のバンドルファイバとして設計し試作すること,データ処理システムとしてFPGAを用いた専用ハードウェアを構築すること,および多点における計測結果について噴霧の質量分布を非定常量として解析する手法を構築することを検討した.当該年度では,コモンレールインジェクタより噴射される燃料噴霧について,噴孔出口5mmから25mmにかけて複数点について計測を行い,噴霧の質量分布解析方法を確立した.微小粒子が分裂を繰り返しながら時間的および空間的に大きな変化を示し,粒子の追いつき・追い越し現象および分裂・合体現象を捉えることができた、また,粒子通過率および粒子径により質量分布を時系列変化として算出したところ,噴霧中心部および周辺部では大きな勾配を示した,インジェクタにおける針弁リフトの非定常性が質量分布の時間変化となり,特に噴霧中心部において非定常性が強くなることが分かった.本課題で開発した質量分布解析手法およびFPGAを用いた高速データ処理システムにより噴霧の非定常性が明らかになると期待される.
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