研究概要 |
本年度に得られた結果を要約すると,つぎのとおりである. (1)先細ノズルの上流圧力を一定に保ち,下流圧力(背圧)を減少させると,流れがチョークするときの背圧とノズル上流全圧の比Pb/Poは等エントロピー流れと仮定した理論値よりも小さい.この理論値のとき,ノズル出口の主流マッハ数は1であるが,流れはチョークしていない. (2)流れがチョークしたとき,チョーク断面はノズル出口より上流に位置し,境界層排除厚さはチョーク断面からノズル出口に向かって減少する.このため,主流マッハ数はチョーク断面において1であるが,チョーク断面からノズル出口まで増加し,ノズル出口で超音速となる. (3)チョーク断面は境界層が厚くなるほどノズル出口より上流に移動する.チョーク断面とノズル出口における境界層排除厚さの実験値は複合流れモデルによる計算結果と定性的に一致する. (4)以上の結果に基づき,先細ノズルにおいて流れがチョークしたとき,ノズル出口における主流マッハ数が1よりも大きくなる現象について,定性的モデルを提唱して流れのメカニズムを説明した.
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