2008年度の成果として、大きくは翼まわりの流れの数値解析手法の検討と、実験用中規模風車の改造がある。流れの数値解析においては、一様流中の単独翼の数値解析において、乱流モデルの設定により翼の失速の捕らえ方が大幅に違うことがわかり、k-e、LESの解析を行った。しかし、適切な解を得ることができなかったため、調査したところ、失速を捕らえるためにはDESが有効であるとの情報を得た。早速DESによる解析を行い、迎角14度で大きな失速が発生する現象を数値解析で再現できた。今後はDESにおける領域分けの工夫を進めることで、より精度の高い解析を目指して研究を進める足がかりが得られた。また、一連の数値解析を実施したことで、メッシュ分割のノウハウを獲得でき、今後回転スライディングメッシュを用いた解析への道筋を得ることができた。風車の改造については、我々が従来より構築してきた実験用風車(定格出力2.7kW)を、片持ちハリから両端支持に改造を行った。従来片持ちバリで開発してきたが、回転があがると軸が振れ振動を起こし、不安定であった。また、片持ちであるため、大きな軸受け(120mm)を私用していたことにより、軸受け抵抗が大きく、起動特性に影響を及ぼしていた。今回、両端支持にして軸受けを40mmの小型にできたことで、回転数が上がっても振動を発生することは少なく、安定な回転ができるように装置を改造することができた。また軸受け抵抗を大幅に減らすことができ、自己起動特性が向上し、今後の研究の展開の上で好条件を整えることができた。
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