平成20年度には、まず軽自動車用の小型ターボチャージャ用コンプレッサを用いて、回転数を10461rpmまで上昇して試験を実施した。この駆動にはモータ回転数3600rpmをベルト駆動で増速して使用した。また最大回転数時のコンプレッサの周速度は19.4m/sとなる。コンプレッサの性能曲線と低流量域で問題となるサージング現象の計測を重点的に実施した。配管系によってサージング現象が異なる可能性があるため、タンクが配管系に含まれる場合と、コンプレッサ前後の配管が短い場合の計測を行った。サージング現象の計測では、圧力変換器を用いて圧力の非定常な挙動を求め、周波数分析器でサージング発生時に特徴的に現れる非定常圧力変動周波数成分について計測を行った。 上記の実験の結果、1.サージング現象は配管系の特性に依存し、配管系が短い場合には発生しない。2.サージング発生時にはその周波数は配管系の流体固有値にほぼ等しくなり、現象の発生範囲は性能曲線の右上がり部分に限定される。3.コンプレッサの回転数の増加(マッハ数の増大)とともにサージング発生領域は拡大する。4.性能曲線に関してもコンプレッサの回転数が増大すると共に右上がりの不安定特性領域は増大する。といったサージング現象に関する基本的なデータの取得に成功した。
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