噴流は、種々の産業機器に応用されている流れ場であり、近年では、その拡散制御および方向制御に関する研究が多く行われている。 このような背景から、本研究では、正5角形断面をもつダクトから噴流を流出させ、その正5角形の1辺と同じ長さをもつ正方形ダクトを正5角形ダクト周辺に配置する。そして、この正方形ダクトには往復振動流を付加する。さらに、任意の正方形ダクトに往復振動流を付加することによって、その正方形ダクト方向への主噴流の方向制御ならびに拡散制御を試みるものである。 ここでは、研究の第一段階として、往復振動流を付加していない場合における正5角形ダクトから流出する主噴流の流動特性を調べた。すなわち、主噴流の中心軸および5角形の1頂点を含む平面内における流れ方向の速度成分について、X型熱線センサおよび定温度型熱線流速計を用いた速度計測を行った。そして、得られた速度情報から速度分布や噴流の半値幅等の平均流特性、ならびに、乱れ強さなどの乱流特性量を求めた。また、噴流内の組織構造を調べるために、変動速度のウェーブレット解析も行った。さらに、円管から流出する噴流の実験結果との比較も行った。なお、水力直径およびダクトの出口中心における最大速度に基づくレイノルズ数を約7.4×10^4および4.0×10^4とした実験を行った。 その結果、5角形ダクト出口における速度分布は噴流中心軸に対して非対称であるが、下流へ進むにしたがって、次第に対称な速度分布に近づいていくことがわかった。また、5角形ダクトから流出する噴流の半値幅は、円形噴流のそれよりもわずかに大きいこともわかった。さらに、乱れ強さは、噴流せん断層において高い値となり、ダクトの頂点側と底辺側との値が大きくなることがわかった。また、噴流せん断層において計測した変動速度のウェーブレット解析結果から、ダクトの頂点側および底辺側で乱れの構造が異なることもわかった。
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