研究概要 |
本研究の目的は,VCADシステムにおけるKitta CubeおよびOctree構造データを直接用いた,格子作成が不用となる3次元非圧縮性粘性流体の新しいシミュレーション技術を確立し,形状記述性とロバスト性に優れた(VCADシステムに対応した)高精度流体解析ソフトウェアを開発することである.ここで開発する流体シミュレーションソフトウェアは,実際の設計での利用を考慮し,生産性を高める支援環境を提供する.また将来X線CTやMRI等で測定された生命体の形状データに対する流体シミュレーションにも役立つ.平成20年度には,VCADシステムのKitta Cubeデータに基づいた実現可能な3次元流体計算手法を提案し,非定常・非圧縮性・粘性流体の数値シミュレーションソフトウェアV-Flow 3Dの開発を実施した.具体的にはKitta Cubeによる3次元形状表現をカットセルと呼ばれる方法,つまりKitta Cubeにおける多数三角形による境界表現を一枚の平面と立方体との切断面によるものに転換し,VCADシステムに基づいた従来のVOF近似から形状精度を改善した3次元高精度の流体解析手法を提案した.また,提案した解析手法の離散化やソフトウェアの信頼性と精度を検証し,VCADフレームワークに実装することにより,複雑3次元形状のある流れ場への流体シミュレーションを試みた.さらにVCADシステムに基づくマルチスケール流体解析技術を開発し,希薄流れ解析にDirect Simulation Monte Carlo法を導入し,V-DSMC 2Dソフトウェアの開発も成功した.また塵旋風における風・砂・電場のマルチカップリングの研究も着手し,環境保全問題における砂塵運動の粒子帯電の静電気モデリングを検討した.以上の研究成果が学会講演会などに発表し,一部の成果が学術雑誌にも掲載された.
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