研究課題
本研究の目的は、VCADシステムにおけるKitta CubeおよびOctree構造データを直接用いた、格子作成が不用となる3次元非圧縮性粘性流体の新しいシミュレーション技術を確立し、形状記述性とロバスト性に優れた高精度流体解析ソフトウェアを開発することである。平成21年度にはVCADシステムのKitta Cubeデータ構造に対応した、ロバスト性の良い非構造格子法による新しい3次元流体計算手法を提案し、非定常・非圧縮性・粘性熱流体の数値シミュレーションソフトウェアV-Flow3D Verison 1.0を開発した。具体的にはVCADシステムのボクセルKitta Cubeにおける数値離散化にSIX+Nモデルを提案・導入し、KittaCubeの3次元形状パターンの数え上げに起因する流体支配方程式の数値積分の困難を克服した。SIX+Nモデルとは、有限体積法でKitta Cubeをコントロールボリュームとして積分する際に、完全な六面体(SIX)とカットされた不特定数の切断面(N個)をそれぞれ分け、六面体は従来の方法で積分するが、不特定数(N個)の切断面の積分はまとめて整理し、既知の境界条件として離散化方程式に代入して済む方法である。提案した新しい手法は平成21年12月25日に日本特許に出願した(特願2009-296254)。また、開発したV-Flow3DソフトウェアはSOFTICにソフトウェア登録された。VCADシステムに基づくマルチスケール流体解析技術の開発に関して、引き続き、希薄流れ解析に適用するV-DSMC2Dソフトウェアを開発し、V-Flow3D Version1.0とともにV-DSMC2D Version1.0も2010年3月に理化学研究所のWebページを通して一般公開される予定である。また、開発したソフトウェアを用いて都市ビルの風環境の数値シミュレーション評価に試み、環境保全問題における粒子帯電の静電気モデリングや乱流中の微細粒子運動の数値モデルを検討した。以上の研究成果が7回の学会講演会で発表し、一部の研究成果が学術雑誌に投稿し、6篇の査読つきの論文が掲載された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (7件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Journal of Xi'an Jiaotong University (In press)
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http://www.riken.jp/vcad/