研究概要 |
建材で用いる塗料や防腐剤,接着剤などから発生する揮発性の有機化合物(VOC)は,シックハウス症候群の原因物質と考えられており,このVOCの低減技術の確立は,安全で安心な住環境の維持という,身近な環境問題として極めて重要な課題である.VOCとしてはホルムアルデヒド,トルエン,キシレンなどの化学物質が代表的なものであるが,現在はこれらをサンプリングして濃度を測定し,その上限値を定めた規制が行われている.このようなVOCは,住環境以外でも,塗装や洗浄,組立といった製造工程からも排出されていることから,これらVOCの排出抑制技術の確立が急務の課題となっている.このような状況から抑制技術の確立には,サンプリングによる総量的な計測だけでなく,局所的なVOC発生状況の精密な把握と評価法の確立が必要不可欠であると考えられる.本研究ではこのような状況を踏まえて本研究では,レーザー誘起蛍光法を用いたVOCの可視化技術を確立する.平成20年度は,当初の予定通りVOC発生挙動に関する予備的な実験を行った.特に,塗装面の性状として,金属面と木材面を考え,塗料の塗装面への吸収量がVOCの挙動に与える影響を明らかにした.また,塗装面の向きの影響も系統的に明らかにする実験を実施した.塗料の種類についても,アクリル系塗料,エナメル系塗料,水性塗料などの代表的なものを使用し,それぞれの塗料からのVOC発生状況の違いも解析した.また,小型紫外光源としてYAGレーザーを購入し,VOC計測が可能な355nmの紫外光を得た.さらに,イメージインテンシファイアによる微弱光検出光学系を製作した.
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